「地下」への雨水流入を遮断 利用者の安全確保に向け官民連携(東京地下鉄株式会社)

リスク対策.com 2014年9月号掲載記事

利用者の安全確保に向け官民連携

営業路線は全線合わせて195.1km、駅数は179駅、1日の利用者数は673万人にのぼる東京地下鉄株式会社(東京メトロ)。一般的に「地下は水害に弱い」と思われがちだが、実際はどのような水害対策を施しているのか。水害における地下鉄の本当の課題は何なのか。東京メトロを取材した。

豪雨により水没した丸ノ内線の赤坂見附駅(写真提供:東京メトロ)

2009年1月、中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」は、荒川堤防決壊時などにおける地下鉄等の浸水想定について発表した。その結果、現況程度の止水対策を前提とした場合には、17路線、97駅、全長約147kmの路線が浸水するケースや、堤防決壊後3時間余の短時間で大手町駅などの都心部の地下の駅が浸水するケースがあることが確認された。一方で、地下鉄駅等の出入口やトンネル坑口に止水対策を施せば、完全な止水でなくても浸水区間を少なくすることが可能であることも確認されている。

過去の地下鉄浸水被害

都内の地下鉄における過去の浸水被害は、1993年8月の台風11号による浸水と、1999年8月の集中豪雨による浸水などがある。前者の浸水は銀座線虎ノ門駅から赤坂見附駅間で、溜池山王駅設置に伴う大規模改良工事を行っていたところ、その工事区域から雨水が浸入した。後者は、工事中の銀座線溜池山王駅や、半蔵門線渋谷駅、建設中の南北線麻布十番駅でも浸水した。 

東京メトロ鉄道本部安全・技術部防災担当課長の木暮敏昭氏は「工事区間からの浸水のほか、駅出入口の止水板設置が遅れたことによるものもあったことを踏まえ、気象情報を早期に把握し、迅速な対応を取ることを徹底している」と話す。

「出入口」「換気口」「坑口」をふさぐ 

東京メトロの浸水対策は、原則として政府や自治体から発表されている浸水想定に沿って対策を施している。 

洪水時に水が入る侵入経路は、大きく3つある。1つ目は駅の出入口、2つ目は換気口、そして3つ目は電車が地上に出る場合に使用するトンネルの坑口だ。 

まず駅の出入口には、1部の浸水の恐れのない出入口を除き、止水板が設けられている。35㎝の高さの止水板を2枚重ね、最大で70㎝まで対応できるようにしている。これについては新しい想定の高さに達していない駅もあるので、現在、順次対策を施しているところだ。江戸川区など、墨田区より東側のいわゆるゼロメートル地帯では、出入口の前に階段を設けて高くし、その上に防水扉を設置し出入口をすべてふさぐ。地上で施工できないところは、地下に防水扉を設置することもあるという。 

次に換気口だが、歩道に金網のグレーチング(溝蓋)を施して換気に利用しているタイプのものに浸水防止機を配備した。その数は都内でおよそ900カ所にのぼるという。この浸水防止機は2mの浸水まで耐えられる見込みだが、予想浸水深2mを超えるところには、水深6m対応の新型浸水防止機を順次設置している。 

坑口については、従来は周囲に防水壁を設けて対応していたが、これに加え現在では浸水想定区域内のトンネル内に順次、防水ゲートなどを設ける計画だ。 

「昨年6月の水防法の改正により、地下街や地下鉄の管理者は新たな対応が義務付けられた。今年度中には全て対応したい」と木暮氏は話す。 

画像を確認 写真上から、止水板、防水トビラと歩道の換気口、浸水防止器、地下鉄が地上を走るための坑口と防水ゲート(写真提供:東京メトロ)

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