社屋を避難所として開放 地震に強い構造が守った(熊本構造計画研究所)

リスク対策.com 2016年7月号掲載記事

熊本市内から阿蘇方面(北東)へ15㎞ほど離れた大津町にある熊本構造計画研究所(本社:東京都中野区)も激しい揺れを受けた。社屋の構造やライフラインに大きな被害はなかったが、一時的に自宅に住めなくなった所員が多数出たことから、社屋を避難所として開放し、10家族ほどを受け入れた。

構造計画研究所は、東京に本社を構えるエンジニアリングコンサルティング企業で、免震・制振・耐震技術による超高層や特殊建築物の構造設計、自然災害による被害のシミュレーション、情報通信・製造分野でのシステム開発などの事業を行っている。1983年に、当時熊本県知事だった細川護煕氏のテクノポリス構想に沿った企業誘致により熊本市に事務所を開設し、現在は大津町で熊本構造計画研究所として、東京本社との連携をとりながら、新たなサービス開発の拠点として事業を展開している。

社屋は低層の3階建て(一部2階建て)で、自社による構造設計をした地震に強い建物。約100人の所員が勤務している。4月14日の前震ではほぼ被害もなく、本震でも蛍光灯が落ちたり、社内に設置してあったコーヒーマシンが倒れたりするなどの軽微な被害で済んだ。

たまたま熊本に採用活動で出張していた同社常勤監査役の杉本彰氏は、本震があった16日から現地の対策本部として災害対応にあたった。

「被災地の所員は自宅が被災しているような状況ですから、対策委員は務められません。他の地域から、いかに早く支援してあげるかが重要だと思いました」(杉本氏)。

画像を確認 熊本に採用活動で出張していて、現地対策本部の指揮を執ることになった常勤監査役の杉本彰氏

熊本構造計画研究所。本震では大津町は震度6強の揺れに見舞われているが構造的な被害はなかった

本社の中では、吊ってあった蛍光灯が外れて落ちたり、コーヒーマシンが倒れるなどの被害があったものの、天井が落ちたり壁が崩壊するなどの被害はなかった

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